「スケルトンドミノ」の4つのセルと6つのサブシステム

「スケルトンドミノ」の4つのセルと6つのサブシステム

竣工から26年を経た『竹田邸』では、子供たちの巣立ちという家族の変化に、1階の子供室を間仕切っていた本棚とクローゼット家具を撤去し、廊下との間仕切りのガラスブロック壁を障子として、ワンルームの多目的室とする改修工事を行いました。

このことは、フォーミュラーハウスの『山本邸』『菊池邸』『竹田邸』と、その後の10件余のケーススタディによって、【構法】と【システム】の両輪を持つスケルトンドミノが、日本の住宅【在り方】を模索するものであることの確認となりました。

『建築のミッション――スケルトンドミノとスケルトンログは林業と建築を結ぶ』2012年3月(鹿島出版会)の第1章の4、「現代の日本の木の家居――スケルトンドミノ」で、黒川哲郎は、

「スケルトンドミノは、
融通無碍なスケルトン(S)、
変幻自在なインフィル(Ⅰ)、
日照通風・調音調湿度のメンブレン(Ⅿ)、
暖床涼屋のアパラタス(A)
の4つのセルからなる「安全・可変で健康な家居」をつくるトータルシステムです。
4つのセルシステムは、それぞれ自律的である同時にマトリックスを描き、6つのサブシステムとして機能します」

と述べ、そのサブシステムのひとつ「SI=スケルトンインフィル」」について、

「シカゴ派に起源をもち、1960年代に理論家がすすんだ(SI)による「改修のし易さ」が強く求められているにもかかわらず、今日の住宅は、「日本の木の家」がもっていた「融通無碍な軸の空間」と「変幻自在な丁度=家具・建具」とによる「覚醒と寛ぎの日々新たな日常」の可能性を見失っています。私はその原因が、「インフィルに設備が含まれている」ことにあると考え、独立のアパラタスとしました。またスケルトンからメンブレンを分離させて、カーテンウォール化によって水平力から壁や開口を解放し、防火性能の確保と環境性能の向上をはかりました

と述べています。

この改修の3年後に、『住宅特集』(2016年11月号)の連載「家をつくる図面」の取材を受け、コーディネーターの大井隆弘氏は、その記事に「成長する部品」というタイトルを付けてくださいました。それは次回に。

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