フォーミュラーハウス3連作の軌跡をスタディ

フォーミュラーハウス3連作の軌跡をスタディ

フォーミュラーハウスのプロトタイプ『山本邸』、Ⅱの『菊地邸』に続く、『竹田邸』は、フォーミュラーハウスⅢの実作です。黒川哲郎は『ディテール』NO.75(1988年冬号)で、この3連作の軌跡をスタディしていますが、そのタイトルを「被膜・骨組・設備・空間――竹田邸を中心に」としていることから、スケルトンドミノの【構法】とともに模索してきた【システム】の4つのセル(メンブレン・スケルトン・アパラタス・インフィル)が、この時点で整理されていたことが伺えます。

被膜の見開きには、
「『山本邸』では、被膜1枚で内と外とを区画し、敷地の中に漂うように存在させようと、ガラスと金属がフラッシュサーフェイスで納まるディテールを考えた。
『菊地邸』では、外壁は真壁で、屋根・壁・骨組は独立したエレメントになったが、それは「なった」というより、施主の和風にという希望にそって、日本建築的なものに「もどした」というべきかもしれない。
『竹田邸』では、ガルバリウム波鋼板・シージングペーパー・構造用合板が、前作と共通しているほか、壁にも断熱材を入れ、内装に杉縁甲板を調湿材としてより積極的に使っている」

骨組の見開きには、
「‥‥「軸組+パネル構法」あるいは「木造半剛接ラーメン構法」による「外周部構造システム」を考え始めてから3軒の住宅を設計してきた。
『山本邸』では、南北をラーメンとするために合せ梁を、
『菊地邸』では、段梁を用いたが、
『竹田邸』では、砺波地方の貫と差し鴨居による半剛接軸組構法の「枠の内」にヒントを得、「新差し鴨居」ともいえる半剛接構法を目指した。仕口が長期荷重に、ボルトが短期応力に対するもので、集成材を用いることで構造計算にのせ、変形量をコントロールする」
と、スケルトンドミノへの【構法】の開発の手応えを述べています。

設備の見開きには、
「『山本邸』では、スキップで繋がるひと連なりの空間を冷暖房するために、1階を床暖房とし、冷房はヒートポンプの暖房兼用機器を分散配置した。
『菊地邸』では、ヒートポンプを使った床冷暖を試みた。
『竹田邸』では、2階の居間の床に架橋ポリエチレンパイプを渡し、ヒートポンプで床冷暖している。屋根・壁のほかベタ基礎も含めて外周部断熱を施し、他方で2階床にもモルタルを流し、熱容量を増やしている。木の調湿性が住宅のスケールでも効果あるものとなってくれれば、住宅がプランニングとして、ライトの言う有機性をもつだけでなく、生活の環境を調整するものとしてもオーガニックなものとなることは可能であろう」

空間の見開きには、
「『山本邸』では、庇も水切りも取り除いた単純な切り妻の立体の中に、半地下・中2階・中3階の三層と、1階・2階・小屋裏の三層が互いにスキップしてひと繋がりに連続する空間を展開している。
『菊地邸』では、母屋と共有する庭に対して、内外の空間は大きく繋がりを保つが、内部は単純な切り妻型の空間を余すところなく使い込んで連続させている。
『竹田邸』で居間を2階にしたのは、この最小限住宅で一番大きなエアボリュウムにする唯一の方法であったからだ。吹き抜けで小屋裏と繋ぎ、出窓やテラスで外部へも空間を拡張し、同時にアクティビティも拡げていった。
スケルトンモノコックという方向性をもった構法のため、視界を間口いっぱいに連続させることが可能になった」

と、【構法】の開発を先行させながらも、「日本建築の重層性の現代化」に意欲をみせています

一方で、【構法】とともに模索してきた【システム】の4つのセルを独立させたことで、木造でありながら、「スケルトンインフィル」の改修が可能となり、『竹田邸』は、家族の変化に合わせた長寿命の家を実証します。それは次回に。

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