集成材大断面軸組造のシリーズ化という積分的試行

集成材大断面軸組造のシリーズ化という積分的試行

集成材大断面軸組造のシリーズ化という積分的試行

フォーミュラーハウスシリーズの3作目『竹田邸』の竣工時に発表した『住宅特集』(198711月号)で、黒川哲郎は、何故か解説文では構法的なことに触れていませんが、写真のキャプションは饒舌です。

ディテールの写真では、
「この集成材構法のシリーズでは、箱金物は沓金物のみで、他は仕口と引張りボルトである。そのボルトが防火上の弱点とならぬよう木製釘隠しを考えていたが、決定打とならず、今回は見送った」

と、ブリコルールの心情を吐露しています。

工程写真では、
「供給の合理化を考えれば集成材工場でのプレカットが理想であるが、大工が墨付け、刻みをやめてしまっては、その後の差配がうまくいかない。柱・梁とも大材であるが、ひとりでころがし作業を進めていく。民家などの経験がないと、いささかおじけつくようだ」

大断面軸組では、トビよりも重機が活躍する。これまでの立ち寄せと今回の平起こしのいずれにせよ、短ホゾ、大入れ、あるいは引張りボルトの挿入のために柱脚の自由度が必要である。今回は沓金物を柱脚に先付けし、その周りと基礎との間に隙をとり、建入り直しの後、モルタル詰めとした」

木造の楽しさは、設計とともに施工のプロセスにありその豪快さは病みつきになってしまうが、その割に仰仰しさはない。建て方に並行して枠組みを組み、プラットフォーム工法を取ることも可能で、そこではパネルづくりでの2×4工法の合理性も生かせる」

と、ブリコルールの醍醐味を熱く語っています。そして解説文の末では、

「ライトのいう有機的建築をプランニングだけでなく、空間や環境として求めようとするとき、こうしたシリーズ化という積分的試行は自然の成り行きかもしれない」

と自らの設計姿勢を述べています。そして

「木製引き戸」「フレームレスのガラスドア」「すべり出し窓」なども少しずつ、建具からサッシへ、ディテールから部品へと近づいている」

と自らの設計の興味を述べています。

敷地面積100㎡、学童期の子供二人という、ニューファミリーのモデルハウスの竣工時、内田研究室を初めとする若い建築研究者の方々が沢山見学にいらしてくださいました。それから26年を経た、2013年、子供たちの巣立ちに合わせた改修が行われ、長寿命の家が実現されました。それは次々回に。

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