集成材ジョイントで接合して分子模型のようなスケルトンを組む

集成材ジョイントで接合して分子模型のようなスケルトンを組む

「黒川哲郎の狭山公園休憩所。立体トラス構造がカッコ良すぎる」「トイレもやばすぎる」との嬉しいツイートがありました。

『狭山公園休憩所・便所』は、1993年の『置戸営林署』の次作で、1996年の『上津江村診療所・保健センター』から約20件続く、大分県周辺の林業地とスケルトンログの作品を展開する前の作品です。

「地域材と地域技術による公共建築の木造化構法の開発と実践」をしてきたのですから当然のことですが、黒川の実作は地方に多く、西武ライオンズ球場近くのこの建物は、リアルに建築空間を体感していただける数少ない作品のひとつです。

建築のミッション』の本文で、黒川は、

「奥多摩の材を使い、日本の近代を担った先人たちの、叡智の表徴ともいえる取水塔と、堰堤(1924年)を挟んで呼応させ、(村山)貯水池畔に遊ぶ都市民が、水源の山に想いを馳せる施設としました」

と述べています。そして、

「許容応力度が松に並んで高い檜を選び、150 ~250φの丸太材を『休憩所』では32本、『便所』では24本を、集成材ジョイントで接合し、分子模型のようなかたちが、水や木の精霊たちの姿を思わせるスケルトンを組みました」

と述べ、【水精木精】という可愛らしい別号を与えています。

丁度『構造とその形態――アーチから超高層まで』(ローランド・J・メインストン著 山本学治・三上祐三訳 彰国社)を読み解いていて、そのカバーの見返しに「各々の構造要素は歴史的な流れに沿って考察されるが、その重点は年代の順序にではなく、各時代の設計者がいかに与えられた条件の中で、問題の新しい解決を求めて苦闘したか、という点に置かれている」と書かれていました。

2棟あわせて120㎡に満たないこの建物に、

「都市民の森林への期待は、保全機能にとどまらない建築用材の供給と、戸建てや公営の都市型木造住宅の建設、そしてそれを支える循環林業の再生だと思います」

と、建築がもつメッセージ性に期待を込めていたことがうかがえます。

竣工から約30年を経て、点検・メンテナンスの依頼があり、『休憩所』の檜のスツールの交換が、デザインリーグの元所員・木股常精氏の手によってなされました。きちんと管理がなされることは、建築にとって幸福なことだと感じます。

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