スケルトンドミノとスケルトンログ『野生の思考』

スケルトンドミノとスケルトンログ『野生の思考』

スケルトンドミノとスケルトンログ『野生の思考』

『建築のミッション――スケルトンドミノとスケルトンログは林業と建築を結ぶ』2012年3月(鹿島出版会)のあとがきで、黒川哲郎は、

「スケルトンドミノとスケルトンログは、「循環する林業」と「安全・可変で健康な現代日本の木の家と建築」のリンケージをめざし、ブリコラージュ=作法(さほう)をすすめています。
ありあわせの道具材料を用いた自分の手によるモノづくり=ブリコラージュを(bricolage)を、フランス人の文化人類学者、クロード・レヴィ=ストロースは、未開社会の神話的な機知に富んだ創造性を共有する「野生の思考」とし、理論や設計図にもとづく近代の科学や技術の「栽培思考」と画する表徴としています」

と述べています。クロード・レヴィ=ストロースの『野生の思考』(大橋保夫訳・みすず書房)は、その時からずっと気になっていながら、難解さ故に看過していました。

昨日(2019年9月18日)朝日新聞夕刊の「編集者をつくった本」という記事のカットに、あのパンジーの表紙の本をみてびっくりしました。名古屋大学出版会の橘宗吾氏が、大学一年の時の読書会の難渋した様子と「著者の思考のかまえが身体に沁み込んできた。内なる野生の思考が活性化したと言ってよい」と記しています。

2010年の「天野太郎の建築展」の冊子の中で、黒川は「1962年入学した私の学年は、天野先生にとって、藝大での建築教育と初歩から携わった最初の学生にあたります」と、当時の東京藝大での教育を述懐しています。(その内容については次回)
当時の藝大の学生は、まさにブリコルールの集団で、その中でだいぶ揉まれたようです。

『建築のミッション』は、直接教えを受けた吉村順三の住宅の暖炉の火から始まり、当然咀嚼すべき近代建築の巨人ライト、ミースそしてコルビジュエの住宅の解題と進みます。そして、「「ユニテ・ダビタシオン」の「部屋」の中の活動に挙げている工作(bricolage)から、建築を「つくり方」と一緒に考える作法=ブリコラージュとしてとらえはじめました」

と述べています。

「野生の思考」と「栽培思考」とを画する設計思考が、黒川を木造建築へとかりたてたのかもしれません。

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